アカデミー賞長編アニメーション部門ノミネート!(南米初)ブラジルから届いた傑作長編アニメが来年3月、日本公開決定!
 本作『父を探して』(英題「The Boy and the World」)は、ブラジル・インディペンデント・アニメーション界の新鋭アレ・アブレウ監督による長編アニメーションです。出稼ぎに出た父親を探しに、少年が広大な世界を旅するこの作品は、2014年のアヌシー国際アニメーション映画祭でクリスタル(最高賞)と観客賞を同時受賞という快挙を達成。これまでに44の映画賞を獲得しています。
 今年2月のアカデミー賞長編アニメーション部門でも、スタジオジブリ『思い出のマーニー』やピクサーの『インサイド・ヘッド』、アードマン『ひつじのショーン』ら有名スタジオ制作の作品に混じって、南米勢としては初めて最終候補にノミネートされました。

 クレヨン・色鉛筆・切り絵・油絵具などを自在に使い分けた筆づかいは、まるで絵本に魔法がかけられたかのようで、自然な質感と滑らかなアクションが見るものを驚嘆させます。また、高畑勲監督と宮崎駿監督にも影響を受けたと語るアブレウ監督は、多彩な動きや色で子どもを魅了するだけでなく、社会・政治・環境・経済といった大人の問題をテーマに掲げました。
 70年代〜80年代にかけて長い独裁政権を経験し、近年では経済成長が著しいものの、様々な矛盾が噴出するブラジル。本作はそのブラジルの歴史でもあり、現在の世界の縮図でもあります。さらに、それらすべてが比類のない芸術性と観察眼によって、一切のセリフもテロップも必要とせずに描かれている点で、言語の壁を超えた表現として世界的に高い評価を受けています。
父を探す旅は、やがて祖国ブラジルと、生きることの意味を問う旅へーーーそれは繊細な心と、夢と希望を込めた色彩が織りなす、人生の万華鏡
 親子三人で幸せな生活を送っていた少年とその両親。しかし、父親は出稼ぎにでるため、ある日突然、列車に乗ってどこかに旅立ってしまった。少年は決意する。「お父さんを見つけて、家に連れて帰るのだ」と。未知の世界へと旅立つ少年を待ち受けるのは、過酷な労働が強いられる農村や、きらびやかだが虚飾に満ちた暮らしがはびこり、独裁政権が戦争を画策する国際都市。
 それでも、少年は旅先で出会う様々な人々との交流と、かつて父親がフルートで奏でた楽しいメロディの記憶を頼りに、前へ前へと進んで行くーーー。